国際インターネット囲碁大会本大会
----世界初のビジュアルな4対地マルチ囲碁対局が盛大に行なわれました!!----

◆日時
2007年7月21日(土) 10時〜16時

◆場所
YRP一番館ホール

◆経緯
2003年11月30日(日)に、(NPO)横須賀国際交流協会と(財)横須賀産業振興財団との共催、横須賀囲碁連盟の協力で、中国吉林省延辺州延吉市との間で子供同士のインターネット対局が横須賀産業プラザで行われました。そのことがきっかけになり、YRP10周年・横須賀市制100周年記念イベントの「国際インターネット囲碁大会」として蘇りました。主要な課題に対しては以下のように対応しました。

(1)参加組織による実行委員会が主催
横須賀市、横須賀市教育委員会、(株)横須賀テレコムリサーチパーク、YRP研究開発推進協会、YRP設立10周年記念事業実行委員会、(財)日本棋院、横須賀囲碁連盟、三浦半島少年少女囲碁連盟、京浜急行電鉄(株)が参加

(2)接続対象とする外国都市
時差1時間以内で、現地にキーパーソンの得られる以下の3都市が選ばれました。
@上海----会場は揚子ホテル会議室
金 鉉権さん----今回、ネット接続にご協力。かつて横須賀在住のとき上術の吉林省との接続に協力、現在、上海のNEC−AS社に勤務、同社協力
祝 励立さん----今回、選手選抜にご協力。上海応昌期囲碁学校の先生、中国棋院三段
A釜山----会場は張明翰さんの囲碁教室
張明翰さん----今回、選手選抜にご協力。韓国棋院釜山支部長、韓国棋院五段、第12回4都市対抗少年少女囲碁大会釜山チーム団長
柳 旭烈さん、金 成恩さん----今回、ネット接続にご協力。IT関連ソフト会社社長および秘書
Bメルボルン----会場はNovotelホテル会議室
Brad Melki さん----今回、選手選抜にご協力。メルボルン碁クラブ会長
須田智明さん、伊土智恵美さん----今回、ネット接続にご協力。NECオーストラリア勤務、同社も支援。同社は、またメルボルンで囲碁大会支援

(3)選手層
小中学生各1名、女性1名、一般4名(内、YRP企業から2名)の7名を各都市から選び、世代を超えた交流を図る。横須賀では、YRP選抜その他の選抜を行ないました。

(4)ネット環境
@使用するネット碁会所----28名が同時に対局
日本棋院より「幽玄の間」を提供いただいた。
AWeb会議システム----映像送信、対局運営
NTTアイティ社より Meeting Plaza(MP) を提供いただいた。

昨年9月ころから本格的検討に入り、各都市への協力依頼、選手の選抜、PR、シナリオ作成、接続試験などを進めて来ました。特に、上海との通信回線の品質が悪かったためNTTアイティ社の好意により香港サーバ経由のルートを利用させていただき若干品質が向上しました。このようなイベントは多くの方々のご協力が必要であり、幸いにもどうにか昨日の前夜祭まで到達することができ、前夜祭は大いに盛り上がりました。正直な話、接続試験は必ずしも十分ではなく、今日の本大会はどうなるか大いに心配でした。

◆本大会概要
(1)朝のリハーサル
役員は8時に集合し、海外と最終リハーサルを行ないました。回線はまずまずの品質でした。メルボルン選手の幽玄の間のIDの新旧の入れ替えが不徹底で接続できないトラブルがありましたが定刻の開会に間に合いました。

(2)本大会
シナリオ通り開会式が始まりました。ところが、各都市が同時に繋がり映像が送受信されるようになると次第にボケ始め、肝心の都市の選手が手を振るところではかなり品質が落ち一抹の不安がよぎりました。これは、MPのフレームレートの設定が適切でなかったことに気付き、調整後はリハーサル時の品質に戻りました。以降、大会はシナリオ通りに進み、200名を越える参加者で賑やかでした。詳細は、写真でご覧ください。

(3)結果
大会結果を以下に掲げます。結局、横須賀が最下位となりましたが、今大会は市民レベルの親睦が目的(順位はつけない)ですので、大いに親睦を深めたことになりました。外国都市の人口は横須賀の10倍以上で、メルボルンは中国系の選手が多く、現状では横須賀が最下位になってもそう驚くことではありません。今後の強化に期待します。


★見たい棋譜は?






★見たい棋譜は?






★見たい棋譜は?






★見たい棋譜は?






(4)写真集
<>インデックス写真をクリックすると拡大写真が現れます。
@横須賀会場
本大会会場入り口。↓ 対上海戦で、同じ小学生でも格段に強い相手に善戦する鈴村理紗ちゃん。↓
大会実行委員長の蒲谷市長から、碁は自由に創造的に打てる、年齢、性別に関係なく打てる楽しい競技。世界で多分始めてのこのような大会がYRPで開くことができ、各都市の協力に感謝、関係者に感謝のご挨拶がありました。↓ 対上海戦で、同じく格段に強い相手に善戦する石井くん、全くチャンスがなかったわけではありません。↓
武宮九段から、韓国、中国は強そう、日本、メルボルンはいい勝負、蒲谷市長も、今日は駆けつけた棋院の加藤門下の3人もいい人柄です、応援していますので選手のみなさん楽しく、慌てないで打ってくださいのご挨拶がありました。↓ 対メルボルン戦で貴重な1勝を上げた女性(中学生)代表の鈴村菜月さん。武宮九段が”あそこに石が行ってくれれば”と願ったところに石が行って、いい碁でした。↓
加藤正夫門下の3人のご紹介がありました。 小学生の応援に駆けつけた小学生。↓
選手を代表して、小学生代表の鈴村理紗ちゃんが、”--国際親善を目指して対局します--”と元気に選手宣誓しました。↓ 中学生の応援に駆けつけた中学生。↓
記念撮影です。 対上海戦、幸先よい1勝を上げた小松俊雄さん。↓
スクリーンは右側が対局碁盤、中央が解説図、左側が各都市会場を映します。武宮先生、梅沢先生が7人の選手の碁盤を渡り歩いて解説し、選手達は舞台に背を向けて座り、その前にパソコン操作者が座っています。特に、主将戦の解説は各都市でも音声・映像と共に見ることができます。↓ 豪快な戦いで、投げっぷりもいい岡本芳之さん。幽玄の間で100局以上も打って大会に備えたほどネット碁にはまって、大会が終わって即幽玄の間を契約しました。楽しかったと皆さんに感謝。
ラウンジでは、大会と並行して、大森泰志八段の10面打ち指導碁が行なわれました。 打ちまわし上手、戦い上手な小関修身さんは横須賀の強豪ですが、各都市の若手の強豪にもう一歩というところまで迫りましたが惜敗。↓
同じく、鈴木伊佐男七段の10面打ち指導碁が行なわれました。↓ 武田晴夫さんは県代表クラスの強豪、1回戦の対上海戦に勝ち、2回戦のメルボルン戦では中央で華麗な手筋を放ち勝勢へ、終盤ちょっと気を緩めて惜敗。武田さんをもってして各都市のレベルが推測できました。↓
大会会場は、ほぼ満席で、参加者はラウンジの10面打ち指導碁も気にしながら見ています。↓ 戦い終わって、日本棋院の信田常務理事から選手に記念品が渡されました。↓
朝方はパソコンの設定ミスもあり若干映像がぼやけていましたが、その後の調整でほぼ耐えられる品質になりました。WEBカメラの最小画像の4倍画像で送受信した各都市の様子がこの写真です。これをスクリーンには8倍画像で写します。↓ 甕(もたい)昭男実行委員会副委員長から、釜山が優勝で幕をを閉じた今大会は各都市、関係者、参加者のご協力でYRPにふさわしい成功を納められみなさんに感謝、朝は映像品質が悪かったが次第によくなり楽しく見られて感心、世界最先端のYRPには無線系の6000人の技術者が集まり内4000人が研究に従事し、32の大学、各国と協調して進めている、今回のイベントはICTの発展に有効に働くので今後も続けてほしいとの閉会の辞がありました。
武宮先生、梅沢先生の解説に合わせて、上の4都市の会場の映像の特定の都市の映像を拡大したりして、4都市間の臨場感を演出します。→↑

A上海
----揚子ホテル
B釜山----張先生の教室
Cメルボルン----Novotelホテル


◆プロの先生、選手のみなさんの感想
対局が終わったあとのインタビューや、全体の感想など、プロの先生、選手のみなさんの発言をランダムに集めました。
@武宮九段
・このような大会にお招きいただき感謝しています。今後世界に広がるといいですね。
・各都市の選手は並みの打ち方ではない。
・相手の”ギャー”というのが見えるとおもしろい。
・こうゆう対局はすばらしい、政治家が行くよりよい。
・選手のみなさんお疲れと思いますのでゆっくり休んでください。
・若い人も、年配の方も頑張ってほしい。
A梅沢女流棋聖
・選手同士話し合えるともっとよかった。
・外国の選手は予想外のところに打ってくるものです。
・こんなに盛り上がった大会はない。
・みなさんお疲れ様でした。とても楽しかった。
B選手達
・緊張はしなかったけれど、各都市の選手は強い。
・相手は強かった、ちょっと緊張した。
・相手は強かったけど、面白かった。
・勝負手を打たれてひどい目に遭った、外国選手の打ち方は日本の方と違う。
・普段練習していないと勝てない、1勝できてよかった。
・相手が強かった。
・たいへん参考になった。
・新しい企画で、自分なりに打った、今後も続けたい。
・便利なものができたけれど追いつかない、けれど面白い。
・疲れた、コンピュータで打っても弱いものは弱い。
・ここで投了すれば強いと思ってもらえると投了した。
・ちょっとしたトラブルもあったけどうまく対応していただいた。最後の1局は勝ちたかった。
・リハーサルなどお世話になったスタッフのみなさんに感謝したい。

◆広報
@読売新聞(07/07/22)に掲載されました。 こちら
A日本棋院の「碁ワールド」9月号に紹介されました。 こちら

◆反省事項
次回以降に向けての主な反省事項を以下に示します。
@スケジュール
これは、ほとんどの大きなイベント、システムの開発などがそうであるように、ぎりぎりにならないとなかなか進捗しません。特に、海外都市が関係する今回のようなイベントでは相手の状況も十分考慮してスケジュールに余裕をもって進める必要があります。
A画像、音声品質
今回は、現状の汎用のブロードバンドを使用したときの標準的品質を示すことができたと思いますが必ずしも十分ではありませんでした。今後、ブロードバンド時代が質、量ともに急速に発展していくと予想されるので品質の心配なくなると思いますがどうでしょうか。
B臨場感
上述の武宮九段、梅沢女流棋聖の感想にもあるように、双方向の通信がもっとできていれば臨場感を出すことができもっと親睦が深ったと思います。対局終わったとき、こちらかの選手の”ありがとう”の呼びかけに海外の選手が手を振って応えてくれたのは好印象でした。ここに、双方向通信の有効生を感じることができます。

◆編集後記
全体を通して、本大会で全選手が全対局を済ませることができたことは、まずまずの成功だったと思います。本イベントは正に総合力が問われ、各役員がそれぞれの持てる力を十分発揮して実現できました。この体験は大きいと思います。今回は世界で始めて映像通信と融合させてマルチの国際都市間のインターネット対局を実現したイベントとして囲碁の歴史に残ると思います。このイベントがYRPのあるIT先進都市の横須賀で実現できたことを誇に思います。
今回のイベントが1回きりのものでなく、草の根レベルの国際交流として今後にどう繋げるかは囲碁連盟に課せられていると思います。

最後に、ご協力いただいた海外都市のみなさまに、環境提供・運営支援いただいた日本棋院様、NEC様、およびNTTアイティ社様に感謝いたします。また、ご参加いただいた囲碁愛好家の方々に感謝いたします。

本大会は、以下の役員の方々、および関係者により運営されました。みなさま、お疲れ様でした。(順不同、敬称略)
井上、青柳、笠原、渡辺、古川、志村、長倉、杉山、安東、仲川、長島、相澤、長野、尾高、西山、小椋、山口、中山(韓国から参加) 、武田、浜津、高瀬、穴井、佐藤、高橋、池田、海老塚、梶原